
多くの人は努力したら努力しただけ成功への近道かと思っているかもしれない。
しかし、本当の一流って呼ばれる人は、過度の努力は却ってマイナスになるということを経験して、上手に自分をコントロールしつつ、それを実践しているようだ。
偉人と自己管理
塚原卜伝
戦国時代の話。
剣豪の塚原卜伝に1人の若者が弟子入りした。

先生コツコツ修行すれば、どのぐらいで剣の奥義を会得できますか?

お前は筋が良い。
5年ぐらいで会得出来るだろう。

では寝食を忘れて修行すればどうでしょう?

それだと10年は掛かる。
不思議に思った若者は更に質問した。

では私は死に物狂いで修行します。
これならどうでしょう?

おいおい、それでは一生掛かっても会得出来んぞ。
ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、無理のないペースでコツコツ継続することが大切ということだ。
村上春樹
作家の村上春樹さんは、1日に原稿用紙10枚ほど、執筆するそうだ。
どんなに気持ちが乗ってきて、更に書きたくなっても、10枚で必ずやめるという。

長く続けるためには長距離走と一緒で、一定のペースを守ることが大切。
調子に乗ってスピードを出しすぎると、リズムが崩れてあとで息切れしてしまう。
確かに、作家には調子の好い時にガーッ!書いて、鬱のときは玄関に「今鬱です。誰とも会えません。」と張り紙をする北杜夫さんのようなタイプもいる。
でも、長期間に渡って第一線で活躍する人は、自己管理能力が驚異的に高いように感じる。
羽生善治
大棋士の羽生善治は小学生の頃は、詰め将棋を考え続けて、気付いたら朝になっていたということが度々あったそうだ。
それほど集中することが成功への近道かと誤解されるかもしれないが、

将棋から離れる時間を積極的に取ることにしています。
公園でボーッとしていたり。無理のないペースで!
自分もそうだけど、塚原卜伝の弟子や小学生の頃の羽生善治のように、寝食を忘れて努力すればするだむ結果が出ると誤解している人も多いように感じる。
でも、人生は短距離走ではなくて、マラソン。
自分なりの無理ないペースでないと、肉体的にも精神的にもいつか折れてしまう。