
統合失調症は精神分裂病と呼ばれていた。
父も同じ病だったのだけど、その診断名を母は

精神が分裂しているなんて!酷い!
と、誰にもぶつけられない強烈な怒りを禁じ得なかったと聞いたことがある。
今も統合失調症に関する偏見は残っているが、当時は更に酷い偏見で、情報も少なく看護する人は孤独な戦いを強いられた。
1度入院してしまうと「一生病院で過ごさなくてはならない」病気という風潮があって、僕も初回入院したときには「すべての希望がなくなった・・・」というこの世にこれほどの絶望があって好いのか・・・と感じる程だった。
精神分裂病は「人格が荒廃し、廃人になる」などという恐ろしい表現に代表される障害が残ることもあったそうで、実際精神病院に長期入院している患者の約半数は統合失調症だったそうだ。
今はその状況は改善されて、精神科に長期入院している患者は主に認知症の人になっているという。
その辛い思いをする人が1人でも少なくなればいいとの思いで、このブログと統合失調症Lineグループ「すきゾ!」 を通じた活動を続けている。
「精神分裂病」という診断名は死刑宣告のような重たさ
20年ほど前までは、精神科に対する社会的な偏見も強く、僕の主治医は「うつ」と診断名を患者さんに伝えることにすらためらいがあったという。
「精神分裂病」と診断するのは、更に酷く「死刑宣告のような重たさがあった」そうだ。
慢性的な経過になることや、将来において様々な困難が予測される等のネガティブな見方があったからだ。
告知を受ける本人や家族の否認や落胆など感情面の配慮から告知をためらい、「分裂病ですが希望を持って治療していきましょう」と胸を張って云える様な治療技術はない時代だったという。
精神分裂病から統合失調症へ
2002年8月の日本精神神経学会において、「精神分裂病」という病名は正式に「統合失調症」に変更された。
病気になった人々とその家族が、「精神分裂」という言葉のもつイメージに象徴されるような病気そのものに対する誤解や偏見から自由になりたいという強い願いからであると思う。
例えば治療が進歩し癌を告知しやすくなったように、今なら「統合失調症ですが、希望を持ち治療をすれば症状が残ったとしても社会生活は可能な病気です」と説明することがでるようになったという。
病名が変わり社会全体が「新たな統合失調症の姿」を知り理解がより深まれば、様々な可能性や変化が生じてくるものと期待をしている。
統合失調症は治る病気
21世紀に入り、治療法の発展として新薬(非定型抗精神病薬)が登場して状況は一変する。
非定型抗精神病薬の登場
それまでの「幻覚、妄想や興奮を抑える作用」に「意欲を改善させる作用」が加えられた薬のため、数年間の長期入院者が退院したり、自宅に閉居していた人が社会活動に参加したり、新規に発病しても比較的短期間で軽快する人が多くなった。
また副作用が少ないことから、服用を途中で止めてしまうことによる再発も抑えられるようになった。
精神療法や社会療法
薬物療法ばかりではなく、入院や通院における精神療法や社会療法により、そして退院後の生活支援の充実によるところも大きく、通院のみで治療が可能になることが多くなった。
メディアも精神医療を取り上げる機会が増え、浦河町の「べてるの家」の活動がテレビで紹介されたり、アカデミー賞をとったアメリカ映画「ビューティフルマインド」が上映されるなど、この病気にとって画期的な時代に入っているという印象だ。
治療法の研究が進んだ
フィンランド発祥で大きな成果を上げている、薬物に頼らず対話による「オープンダイアローグ」や、糖質制限やナイアシンなどのサプリメントを活用した栄養療法なども研究されて、それを取り入れている病院も次第に増えてきている。
情報の入手が容易
ネットには玉石混交ではあるけれど、統合失調症に関する情報は溢れている。
統合失調症に関する良書も増えてきた。
また統合失調症Lineグループ「すきゾ!」 などで、情報交換するようなネット環境も整っている。
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