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方向性を見失っているときには、心を静めること

河合隼雄さんの書かれた本にこのような話がある。

ある漁船が海釣りをしていた時のことです。その船には何人かの人が乗っていましたが、釣りに夢中になっているうちに、夕闇につつまれ、辺りが急に暗くなってきました。あわてて帰ろうとしますが、潮の流れが変わってしまったためか、方角が分からなくなり、混乱しているうちに真っ暗になってしまいます。空には月もなく、必死になって灯をともし、それをかかげて方角をしろうとしますが、まったくわかりません。

すると、仲間の中で知恵のある人が、強い調子で「灯を消せ」と言いました。それを聞いて誰もが不思議に思い、不安になりましたが、その気迫に押されて灯を消すと、案の定あたりは暗闇です。しかし目がだんだん慣れてくると、遠くの方に浜の町の明かりが、ぼうーと見えてきたのです。

それで帰る方角が分かり無事に帰ることが出来ました。

河合隼雄「こころの処方箋」より

方向性を見失っている時期は、暗闇の中に灯を灯した船のようなものだ。

明かりを灯してどうにかしようとするよりも、ざわめく心の灯を消して、心穏やかになると、船が帰り道を見いだしたように、進むべき道が次第に見えてくる。

目が慣れるのにしばらく時間が掛かるように、心を整えて方向性が分かるのもしばらくの時間は必要だ。

方向性を見失っているときには、自然と向かうべき場所が分かるようになるまで心を穏やかにして待とう!

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